前編では風邪や肌荒れ便秘といった比較的身近な病気について解説をしてきました。
今回は人生を左右するような重い病気と睡眠の関係性についてご説明していきますので自分の将来の姿や、身近な人をイメージしながら心して読み進んでいきましょう。
睡眠によって進行が加速する病気
鬱病
「十分な睡眠時間をとらないと精神衛生上、不健康になる」という考え方は、「睡眠の常識」として一般化されているかと思います。
しかし、これも、体に起こる変化や、医学的な根拠から見ていくとそれが正しいとは言えないことがわかります。
睡眠中(正しくはノンレム睡眠中)は副交感神経が優位になり、脳波は穏やかになります。
これを一般的に「脳が休んでいる状態」と表現されますが、これは脳が休んでいるというよりも、「外部からの刺激に対しての受容感度を下げている」だけなのです。
良く言えば「脳が穏やかになっている状態」、ストレートな表現をすれば、「全くやる気が起こらない状態」と言い換えることができます。
単純な話、1日の3分の1の時間をまったくやる気が起こらない状態にしている限り、残りの3分の2の起きている時間もそれに引っ張られてやる気の起こらない状態が続くわけです。
例えば寝る前に、ダイエットの動画を見て明日から痩せようと思っているあなたが、睡眠をとって、朝起きたときに、よし今日からダイエットするぞと思える確率は
今までの経験上かなり低かったのではないでしょうか。
これは寝てる間にやる気がリセットされ、モチベーションの低い自分と言う形で1日をスタートするからです。
これは、ガンマアミノ酪酸(通称GABA=ギャバと言うリラックスを目的としたホルモン)が主役になることで、
やる気を起こすアドレナリンやノルアドレナリンといった興奮性のホルモンを取り除いてしまうからです。
GABAを含んだチョコレートがコンビニ等で販売されており、あの商品の効果は定かではないですが、
睡眠中に分泌される量は、チョコと比較しても尋常じゃない量だと想像することができます。
あなたの身の回りで、とても活動的にやる気に満ち溢れた人が、「1日12時間寝ています!」と言うような話を聞いたことがありますか。
逆に、芸能界で活動しているショートスリーパーや、この記事で紹介したセレブたちは皆ショートスリーパーですが、常人の何倍もエネルギッシュに活動されています。
それは睡眠中の脳の働きが影響していたからです。
もちろんうつ病の原因は、仕事上のストレスや、突発的な出来事、日常の小さな積み重ねなどたくさんあります。
ですが、毎日数時間以上行っている行為に、鬱病の原因があるとすれば、そのボリュームはとても大きいものになるとお気づきになるのではないでしょうか。
心筋梗塞や脳梗塞といった血管の病気
睡眠中に起こる身体の変化その中に、血液が鈍化すると言うものもありましたね。
- 体温が低下する
- 水分量が少なくなる
- 心拍数が低下する
これが原因となって血流を鈍化させることになります。
血液が鈍化していくと、血栓という詰まりが起こりやすい状態となります。
コレステロール値や脂質の高い食事で油分や、不要な栄養素を過剰に摂取している場合、この血液中の血栓が悪さをして血管の病気を進行させることになります。
体中の血液がうまく機能しなくなると最悪の場合、心筋梗塞や脳梗塞が起こる可能性があります。
循環器系の病気を抑制する目的で半世紀以上前から現在も実施されているフラミンガム研究によると、
午前4時から正午にかけての時間の中で、血管の病気である心筋梗塞や脳梗塞の発生確率が上昇していると言う研究データがあります。
また、国内の統計においても、休みが多くて、気温が低く、睡眠時間が伸びがちなお正月の間に、これらの病気のリスクが高まると言う研究データもあります。
もちろん、単純な話ですが、睡眠時間を短くすれば、血液が鈍化する時間を短くすることができ、血管の流れを正常に維持することができます。
浄水場を1日21時間以上稼働させ続けるか
1日の3分の1は稼働を停止しているか
どちらがよりきれいな水を循環させ続けられることができるか。
同じことが血として体内でも起こっているわけです
がん
がんと言う病気は、日本人の2人に1人が発症する病気です。
命に関わる病気なのになぜここまで発症率が高いのでしょうか。
がんと言う病気は、画期的な治療法が発見されておらず、現状はその進行を止めるような抗がん剤と言う投薬治療が中心です。
わからないことだらけのがんと言う病気ですが、今までの研究の中で判明している情報と言うものがあります
それは「がん細胞は35度台の低体温時に最も活発に増殖する」という事実です。
参考情報
(参照元:株式会社ピーエスHPより)
(他にも「がん 35度 増殖」と調べれば、医学的なエビデンスはいくらでも存在します)
人間の平熱は平均して36度台です。
以前「寝れば寝るほど不健康になる睡眠中に起こる4つの体の変化」で書いた通り、
睡眠中は人間の体温は平均して1度ほど下がるとお伝えしました。
そうです。
睡眠によって体温が1度低下することで、がん細胞が最も活発に増殖する35度台の時間を、長時間継続させることになるのです。
寝ている間にがん細胞はどんどん増殖していくと言う事ですね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
最後に書いたような、「睡眠による体温の低下」と、「がん細胞の増殖」を紐付けているような情報はほとんどありません。
ですが、今回私がお伝えしたように
- 睡眠によって体温が1度低下する
- がん細胞は35度台で活発に増殖する
と言う医学的根拠のある事実を組み合わせることで明るみになっていなかった真の情報が見えてきます。
ですが「短時間睡眠によってがんを予防できる!」とアピールしたところで、今の常識ではなかなか受け入れてもらえません。
「胡散臭い」
「何の根拠もない」
「睡眠時間を確保するべきだ」
「宗教的盲信だ」
そうやって一蹴されるのがオチです。
いろいろな要素が複雑に絡みあう睡眠と言う領域においては、物事を一言で説明するのは難しいです。
なので、こうしてブログと言う形式を使って順を追って説明していくしかないと考えています。
今はまだ非常識な短時間睡眠ですが
本当に情報を必要とする人にとって、正しくて有益になるような情報をお伝えしていく必要があります。
この記事をきっかけにして、いろいろな病気の予防について考えてみましょう。