「睡眠時間を増やすだけで収入がUPしますよ!」
この言葉が仮に本当だったら嬉しいですよね。
というのも、睡眠科学の世界では「睡眠時間と収入」に関する研究が盛んに行われており、
中には「睡眠時間を増やすだけで収入が増える!」という結論でまとめている統計情報も多く実在します。
この研究結果に明確な根拠はあるのでしょうか?
今回は、誰しもが気になる「睡眠時間と収入」の関係性についての研究を紐解き、その信憑性についてお伝えしていきます!
目次
睡眠時間と収入の研究について
「睡眠時間 収入」で検索すると、睡眠時間と収入についての情報がたくさんHITします。
実際に調べてみると、検索結果の1ページ目には
「高年収の人ほど睡眠時間が長い傾向にある」
「毎週1時間多く寝るだけで年収はアップする」
というような「長時間睡眠」=「高収入」というような記事が多く見受けられます。
それぞれの記事で多く取り上げられている「ある米通信会社で行われた実験」について実態を見てみましょう!
アメリカの通信会社で行われた「長時間睡眠」=「高収入」という研究結果
アメリカにあるウィリアムズ大学という大学の研究者らが
「大手通信会社の社員の睡眠時間のデータを分析したところ睡眠時間の増加は賃金の引き上げに影響する」
という研究結果をまとめた論文を米ワシントンポストに掲載しています。
研究者らは通信会社大手のジャブラ社(固定電話機、パソコン、携帯電話などのヘッドセット市場世界No.1のシェア)の社員の睡眠時間のデータを分析しました。
その研究では
「睡眠時間が短いと生産性が落ちる一方で、毎週の睡眠時間が平均して1時間増えると給料が1.3%上昇する」
という研究結果でまとめられています。
おそらく、この論文をそのまま鵜呑みにすると「睡眠時間を長くすると収入がUPする」という解釈をされるのではないでしょうか。
ですが、こういった研究・統計情報を参考にするときは、そのデータの根拠についてしっかりと確認する必要があります。
根拠のない情報を鵜呑みにしてはならない!
ウィリアムズ大学の研究員がまとめた「毎週1時間多く寝るだけで年収はアップする」という
研究について書かれているブログは数多く存在しますが。
ですが、肝心な「なぜ睡眠時間を多く取ると収入がUPするのか」というところまでは詳しく書かれていません。
ほとんどの記事で、研究結果がそのまま事実である、という書き方をされているのです。
私は、「年収が高い人」は「睡眠時間が長い傾向にある」ということを否定しませんが
「睡眠時間が長い人」が「年収をUPすることができる」ということにはならないのではと考えています。
成功している人はみな常人の何倍もの努力をしている!
世界で活躍している著名人やセレブは、もともとお金持ちであった場合をのぞき、みなさん人の何倍もの努力をして、今の地位を確立されています。
いまの地位を確立して、自分の時間に余裕を持つことができた結果、睡眠時間を確保するようになったのなら自然だと感じます。
そして、いまは収入が低いけど、成功するために睡眠時間を自分の投資に使っているため、統計的に「睡眠時間が少ない傾向にある」というのも自然だと思いませんか?
いま成功している人たちは、かつて一般の人たちよりも、何倍も努力して何倍も自分に投資して、そのために多くの時間を使っているのは確実で
「成功するためにたくさん眠ろう」と考えて過ごしてきた人が存在するとは考えにくいのではないでしょうか。
この研究結果を見て今日から睡眠時間を毎週1時間伸ばした場合、あなたの年収はUPするでしょうか。
おそらくそうはなりませんよね。
こうした研究や統計は、あくまでも「現状を調査した結果をまとめたもの」であり、
その数値の見せ方や結論の方向性を変えるだけで、見ている人に与える印象を180度変えることができます。
- 通信会社ではなく、WEB制作の会社だったら?
- 睡眠時間ではなく、役職別に調査したら?
- 個人の収入ではなく、会社の利益としてみたら?
こうして見方を変えれば、結果は変わりますし、結論が180度変わる可能性もあります。
つまり、いまの情報を切り取っただけの結果だけでは、その結果をそのまま事実として捉えることはできないのです。
与えられた情報をそのまま鵜呑みにすると、自分で考えることもなく、意図した方向に導かれてしまうので怖いですね。
特にテレビの情報は、視聴者をスポンサーの思惑通りに動かすように作られたものなので特に注意が必要です。
どうでもいいですが、そういった理由で私は家にテレビを置いていません。。。
世界でもトップクラスに睡眠時間が短い国「日本」が世界第二位の経済大国になれた理由
「睡眠時間を長くすると収入がUPする」という研究結果が本当ならば
世界で見てもトップクラスに睡眠時間が短い国である我が国が、世界第二位の経済大国になれたのはなぜでしょうか。
いろいろな人種がアメリカンドリームを求め、世界中の知能や労働力を集めている世界第一位の経済大国アメリカ
圧倒的な人口と国土で超高度経済成長を起こし、世界第二位の国となった中国
そして、国土も人口もその二つに大きく劣る日本
二つの大きなアドバンテージがありながら、
高い技術力×クリエイティブな発想力×勤勉性
という日本人の強みを生かし、2011年に中国に抜かれるまでは、42年間もの間、世界第2位の経済大国としてランクインしていました。
日本は世界でもっとも寝ない国!
「寝る子は育つ」
「七時間睡眠が常識」
という睡眠の考え方が浸透している日本でも
平均時間は6時間半と世界でも有数の「短眠の国」であるのはご存じでしたでしょうか。
<活動量計を開発・販売するポラール・エレクトロ・ジャパンが2018年4月9日に発表した調査結果>
- 日本が世界トップクラスの経済大国
- 日本が世界トップクラスの短眠大国
この二つはまぎれもない事実です。
もちろん、経済成長の要因は睡眠時間だけではないので、このデータだけを見て「睡眠時間が少ないから経済成長できた!」と考えることはできません。
ですが、「睡眠時間が少ない=生産性が落ちて収入が下がる」という研究結果に疑問を感じることはできるのではないでしょうか。
数十年前までは敗戦国として経済力で大きく劣っていた日本が、世界で最も豊かな国の一つになれたのは
仕事に趣味に育児に、いろいろなことに一生懸命になれる日本人が睡眠よりも大切と思える時間を優先してきたからではないでしょうか。
ある通信会社の中で行われた一つの調査結果を信じるか
自分たちが生まれ育ってきた国が出した事実を信じるか
テレビの電源を切って、ゆっくりと考えてみるのも良いかもしれませんね。
まとめ
今回は「睡眠時間と収入」に関する研究についてお話してみました。
ほかにも
- 睡眠時間と寿命
- 睡眠時間と病気
- 睡眠時間とパフォーマンス
- 睡眠時間と体の成長 など
私たちの生活と睡眠は複雑に絡み合っています。
多くの人が興味を持っているからこそ、その情報の論調はさまざまです。
統計情報・研究結果だけを見ていくと見えないものも
実際に体に起こる医学的な反応や、睡眠時間とそれ以外の時間の使い方を一つ一つ紐解くと、
いままで当たり前とされてきた「睡眠の常識」を180度ひっくり返すことも可能です。
これからもこうした「睡眠の常識」について
なるべく客観的な見方で、なるべく根拠をもった情報でお伝えしていきます!
今回の記事以外にも気になる記事があれば、ぜひご一読ください!